生活習慣病

生活習慣病とは、その名の通り生活習慣の乱れが原因で引き起こされる病気の総称です。食習慣、運動習慣、喫煙、飲酒、ストレスなどの要素が、現代では高血圧や糖尿病、高脂血症などを引き起こすことが明らかになっています。生活習慣病はかつては「成人病」と呼ばれていました。40代~60代の働き盛り、もしくはそれを少し過ぎたくらいの人が発症するものであったためです。本来成人は20歳以上の人を指す言葉なのですが……。しかし、日本人の生活習慣の変化(食の欧米化、ストレスフルな生活など)により、それよりももっと若い世代、場合によっては未成年も糖尿病や高血圧などの成人病を発症するようになりました。当時の厚生省は従来の成人病はもはや成人だけの病気ではないとして、呼び方を生活習慣病に置き換えるようになりました。

高血圧は様々な病気へ進行します

高血圧は生活習慣病の中でも代表的なものです。高血圧に関係する生活習慣は喫煙、肥満、運動不足、喫煙、食生活の乱れなどです。特に塩分摂取量は高血圧の発症頻度と強い正の相関を示しており、塩分摂取が多い寒冷な地域では高血圧で亡くなる人が多いことがわかっています。また、たばこに含まれるニコチンは血管を収縮させるアドレナリンやノルアドレナリンを分泌するため、喫煙習慣がある人は血圧が高くなることが多いです。生活習慣を見直すことにより、高血圧を改善することができます。逆に生活習慣が乱れたままだと、血圧は上がる一方になり、動脈硬化や脳梗塞など、危険な病気を引き起こすことになります。適度な運動と健康的な食生活、禁煙・減酒で高血圧を退治しましょう。

糖尿病が引き起こす病気

糖尿病とはインスリンが不足したり、正常に働かなかったりすることによって、ブドウ糖が血液の中に溢れてしまう病気です。ブドウ糖が十分に体にいきわたらないため、体が疲れやすくなったり、あるいは食欲があるにもかかわらず体重が減少したりします。糖尿病には1型と2型があり、日本人の糖尿病患者の95%以上は2型糖尿病にかかっています。2型糖尿病の原因は食事や運動などの生活習慣です。もともと遺伝的に糖尿病になりやすい人に肥満などの要因が加わり、糖尿病を引き起こします。糖尿病の合併症の中でも代表的なものが糖尿病性網膜症です。この病気は目のフィルムの役割を果たしている網膜が障害を受け、最終的には失明に至るというものです。治療が難しく、自覚症状も乏しいため気が付いたときには手遅れになりがちです。その他、血管に関する様々な病気も現れます。最初は無症状でも、やがては血行障害から歩行障害、果ては四肢切断に至ることも少なくありません。糖尿病が恐ろしいといわれるのは、この合併症が深刻なものであるためです。

高脂血症(脂質異常症)を治すために

血液中にはいろいろな成分が溶け込んでいます。脂質もその一つです。血液中の脂質にはコレステロール、中性脂肪、リン脂質、遊離脂肪酸があり、この4種のうち一つでも正常値より高いと、高脂血症になります。高脂血症の原因は食べ過ぎ、飲み過ぎ、喫煙、運動不足などです。現在の患者数は700万人ほどです。高脂血症は動脈硬化症や脂肪肝などを引きおこす原因ともなるため、早目に治療を行うことが肝心です。
治療は食事療法、運動療法の二つが主です。特に食事療法が重視されます。脂肪の摂取をおさえることが重要となるため、後述のメタボリックシンドロームと重なる部分が多く、身体の周りについた脂肪を落としていくことで、目に見えない血中脂肪も改善されます。

メタボリックシンドローム

メタボとはメタボリックシンドロームの略で、腹回りに脂肪が蓄積した「内臓脂肪型肥満」に、高血糖、脂質異常、高血圧の一つ以上が付随した状態のことを指します。メタボの診断は腹囲(男性は85cm、女性は90cm)、中性脂肪、血圧、空腹時血糖を元に行います。メタボは心臓病、脳卒中など、命にかかわる病気を招くため、早目の対処が必要です。メタボの運動・改善には適切な食事、適度な運動、禁煙が効果的です。薬を用いることもありますが、薬を飲めば万事大丈夫ということはなく、生活習慣の改善も併せて行う必要があります。