循環器内科
循環器内科は心臓病や血管の病気を専門とする科です。心臓は血液を全身に送り出すポンプのような役割を果たしており、心臓が止まることはすなわち死を意味します。心臓が弱まると血液が全身に廻らなくなり、心不全などの病気が表面化するようになります。心臓の健康を保つことは、QOL(Quality Of Life、個々人の生活の質)を向上させることに繋がります。血管は心臓から押し出された血液を輸送するパイプ管の役割を果たす重要な器官です。血管は人体の隅から隅まで張り巡らされており、血管を見ることによって体のありとあらゆる不調を診断することが出来ます。血管はまさにその人の健康状態を示すバロメーターなのです。循環器内科では自覚症状がない高血圧や高脂血症の診断も可能です。生活習慣病に対する不安がある方は、ぜひ一度いらしてください。
高血圧とその原因
高血圧とは血管に強い圧力がかかり過ぎている状態のことをいいます。心臓はポンプのように一定のリズムで血液を全身に押し出しています。血液を押し出すまさにその瞬間、血管には一番強く圧力がかかります。これが収縮期血圧(最高血圧)です。いったん収縮した心臓はその後広がります。この時血管には一番弱く圧力がかかります。これが拡張期血圧(最低血圧)です。高血圧の定義は「最高血圧が140mmHg以上」もしくは「最低血圧が90mmHg以上」です。ただし、血圧は緊張したり、運動したりすることでも高くなるため、リラックスした状態で測る必要があります。病院で測ると緊張して血圧が上がってしまう場合(これを白衣高血圧といいます)は、家庭用の血圧測定器を購入し、自宅で正しい血圧を測るようにしましょう。高血圧は自覚症状が乏しいですが、放置すると心臓が固くなり、狭心症や心筋梗塞などの恐ろしい病気を引き起こします。適度な運動や節制により、血圧を正常値に保つことが大切です。
心不全とその症状
心不全とは簡単いえば、心臓が弱った状態のことです。通常、私たちの心臓は栄養や酸素を十分に含んだ血液を全身に送るポンプの役割を果たしていますが、心不全になるとこの役割が十分に果たせなくなり、様々な症状が現れます。心不全には急激に表れる急性心不全と、ゆっくりとあらわれる慢性心不全があります。どちらも危険な状態であることにはかわりなく、欧米では現在1000人に対して約7人が心疾患にかかっています。心不全の症状は疲労感、息切れ、むくみ、体重の増加などです。心不全が進行すると徐々にこれらの症状が重症化し、日常生活をまともに送ることが出来なくなります。手遅れになる前に医師の診察を受けて、適切な治療に取り組むことが重要です。
狭心症にならないために
狭心症とは心臓の血流が不足することにより酸素が不足し、痛みを感じる状態のことです。狭心症には「労作性狭心症」と「安静時狭心症」の2種類があります。労作性狭心症はその名の通り労作時、たとえば走ったり速足で歩いたり、重いものを持ったりしているときに現れるタイプの狭心症です。痛みは胸から肩まで広がることもありますが、少し休めば収まります。症状が数十秒以下と短い場合にはそれほど心配ないのですが、長く続いた場合は念のため医師の診断を受けましょう。安静時狭心症は安静時も同じような症状が現れる狭心症です。労作性狭心症よりも危険な状態であり、放置すると冠状動脈という部位が詰まって心筋梗塞を引き起こす可能性があります。狭心症の予防は一般的な生活習慣病の予防方法とほぼ同じで、適度な運動とバランスの良い食事、禁煙禁酒と規則正しい生活でほぼ確実に防ぐことが出来ます。不足しがちな野菜などをしっかりと摂りましょう。特に心筋梗塞の血縁者がいる場合にはより深い注意が必要です。
不整脈は万病の引き金です
不整脈とは脈の打ち方がおかしくなった(極端に早くなったり遅くなったりする、ペースが一定でない)状態のことを意味します。自覚症状がある場合もあれば、健康診断で初めて指摘されることもあります。不整脈には危険な不整脈と危険ではない不整脈があります。たまに脈が飛んだりするくらいならば、あまり心配はありません。逆に突然動悸がして脈が1分間に120以上になったり、意識が飛んだりする場合は危険です。危険な不整脈は放置すると脳梗塞や血栓など、様々な病気を引き起こしますので、一刻も早く病院で検査を受けましょう。不整脈の予防にはビタミンAが効果的です。緑黄色野菜や乳製品に多く含まれるビタミンAには自律神経という神経を整える働きがあります。こうした食べ物が苦手だという場合は、サプリからとるという手もありますし、過度なストレスが不整脈の一因でもあるため十分な休息や休暇を取り、リフレッシュすることによって不整脈を起こさない環境づくりも大切です。不整脈はほとんどのケースで治すことが可能です。便利なペースメーカーやよく効く抗不整脈薬も次々登場していますので、心配しすぎずにまずは受診するところから始めましょう。